1930年代のアメリカ経済 2
ローズベルトの人気はおそらく前大統領の極端な不人気から来たのかもしれませんが、彼自身の人柄のなかに、現代政治家として人びとを惹きつける何ものかがあったことも事実でしょう。
暗い時期だっただけに求められた天性の陽気さ、無定見に近いまで特定のイデオロギーにこだわらぬ大胆さと幅の広さ。
適当な進歩性とうらはらな本能的な保守性、試行錯誤ながらたえず前向きのすばやい行動力。
社会の動向に対する敏感でソフトな対応、マス・メディア、とくにラジオによる大衆操作の抜け目なさ、右から左と多様な人材の意見をきく寛容と、これを組織する能力等々。
これらはいずれも現代政治家として、これまでの大統領になかった多様で柔軟な資質です。
同時に彼の一見芒洋としてつかみどころのないような明るい風貌は、同時代の数々のカリスマ的政治家ースターリン、ヒトラー、ムッソリーニ、ドゴールなどとは対照的で、アメリカを独裁的専制主義から救ったといえます。
ローズベルト新政権のもとに、全国から数多くの若き野心的俊秀が集まってきたのも、彼の人徳によるものであったでしょう。
彼らは「ブレイントラスト」として、あるいは行政官としてニューディールに献身的に仕え、多くの新機軸を法案に盛りこみ、革新の気風をワシントンに送りこみました。
ある歴史家は、
「これらの若い学者たちは、彼らと一緒にきびきびとした空気、鋭い感受性、権力欲、危機をかぎつける本能的な性などをワシントンに送りこんできたが、事実、これらが1930年代のワシントンの本質をなしたといってよい」
・・・と書いています。